中国、ITソースコード強制開示強行へ…
という記事が読売新聞等に載っていたようです。
→ YOMIURI ONLINE: 中国、ITソースコード強制開示強行へ…国際問題化の懸念
→ 毎日jp: IT製品強制認証制度:中国が概要公表へ 日本は撤回要求
「中国で生産・販売する外国製品のソースコードの開示を強要し、拒否すればその製品の現地生産・販売や対中輸出ができなくなる。」との事です。
記事によると、全ての製品に対してではなくセキュリティ製品に限定されるようにも読み取れましたが、今一歩良く分かりませんでした。
とんでもない政策だと思います。
こんな事が許されて良いのか。
ソフトウェア業にとっては「ソースコード = その会社の財産」です。
容易に開示するべきものではないと思います。
開示したソースが中国の政府の中で極秘に保管されるだけならそれでも良いかもしれませんが、そういう信用をして良いものなのだろうか。「中国の企業にソースコードが流出し(或いは意図的に流出させ)、コピー製品が作られて中国の企業が発展する。」なんて構図が思い浮かんでしまいました。
日本製品ではありませんがマイクロソフトの「Windows」なんかも、セキュリティ技術は豊富に使用されています。
Windowsのソースコードも開示するのだろうか?
あるいは開示を拒否し、Windowsが中国で販売されないようになるのか。
Windowsが使えなくなると、中国の個人や企業が非常に困るような気がするのですが、そうでもないのか?
もし日本でそのような事態になれば、日常生活に困るし、自分なんかは(Windowsベースのソフトを作っているので)失職する可能性があるのですが。
※ Windowsに限らず、ソフトウェアの世界では日本製品だけでは成り立っていないのが現状です。
中国には、Windowsの海賊製品が横行しているから、Windowsの正規品がなくなっても関係ないのかな?
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読売新聞の記事には 『製品を制御するソフトウエアの設計図である「ソースコード」』 とあります。
「設計図 = ソースコード」という図式は一般的には「偽」だと思います。
設計書があり、それを実現されるためにソースコードがあるというのが、真っ当な姿ではないかと。
設計書でも、概要的なものから詳細なものまで段階があったり。
→ 「設計図 = ソースコード」は現実的に存在しますが、これは悪い例...。
この事から、この記事を書いた人はソフトウェアの事をあまり知らないのかなと思いました。
記事の主題が「IT家電」になっている事からもそう感じた。IT家電への影響は全体の中のごく一部でしかないと思われます。
ソフトウェアに対する世間の認識もこんなものなのでしょうか?
政府の認識が甘く、重大さを認識せずに中国からの要求を簡単に飲み込む事にならなければ... と危惧を感じました。
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コメント
中国人は、実に頭が良いですね。
日本や米国は、中国でモノを作りたいし、中国へモノを売りたい。
一方、中国は生産技術も手に入れた。巨大な内需もある。
これはもう、完全に中国の作戦勝ちではないでしょうか。
全部ではないにしろ、いくらか要求を飲まされることになると予想します。
ところで「製品を制御するソフトウエア」を
コンパイル済みのバイナリコードと読み替えれば、
ソースコードは設計図であると言えないでしょうか。
バイナリコードを直接、書き換えて改良版を作るのは難しいですが、
ソースコードを書き換えて改良版を作るのは、簡単ですからね。
もうひとつ、なぜIT家電が取り上げられるか考えると、
単純に「金になるから」だと思います。
例えば、パソコンのソフトならフリーソフトというものがありますが、
テレビや炊飯器で、フリーのものはないですからね。
私もソフト屋なので、身にしみているのですが
ソフト単体では、もはや一円にもならない時代かもしれませんね。
むかし、日本語入力ソフトを作っていたのが何社もありましたが、
いまやジャストシステムのみ、ジャストも先日キーエンスに買収されました。
ソフト屋で儲かっているのは、マイクロソフトのような世界的企業か
特殊な商売をやっているところぐらいでしょうね。
投稿: | 2009/04/25 02:15
> これはもう、完全に中国の作戦勝ちではないでしょうか。
究極の選択ですね。
企業にとっては「ソースの提出」「中国からの撤退」どちらを選んでも痛手だと思います。
中国への依存が高い企業は、倒産する可能性もあるのではないでしょうか。
「撤退」なら即座に倒産になるかもしれませんが、「提出」ならしばらくは生き残れその間に会社の方向性を立て直す事が可能かもしれないので、中小を中心に提出する企業がありそうな気がします。
> もうひとつ、なぜIT家電が取り上げられるか考えると、
> 単純に「金になるから」だと思います。
工場の生産装置等にもコンピュータが使われているので、その辺りの影響が大きいのではないかと思いました。
最悪工場で生産ができなくなるのではないかと。
今は基幹部分(OS、データベース等)や主軸製品(Officeソフト等)は外国製がほとんどですね。
日本企業でそれなりに使われてるのはウィルスバスターのトレンドマイクロぐらいではないでしょうか(本社が日本のあるというだけで実質的に海外企業のようなものだと思いますが)。
これらの企業がどう出るのか。
これらの企業が撤退したら多くの日本企業は中国から撤退するしかなくなるような気がします。
投稿: やいゆえ横浜住民 | 2009/04/25 15:13